生まれ育った奈井江の地で父を送った家族葬

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生まれ育った奈井江の地で父を送った家族葬

生まれ育った奈井江の地で父を送った家族葬

2023/02/18

私の父は北海道にある奈井江町という場所で育ち、私と兄も同じくこの地で育ちました。父は体が丈夫で、小学校を卒業してからは炭鉱一筋でとにかく働き、夜はビール片手にテレビで熱くなり、まさに「昭和のおやじ」そのものでした。90歳を迎えた時でも自分の畑で育てた野菜を送ってくれたりと、本当に優しさの塊みたいな男でした。

そんな父は老衰のため近くにある歌志内市立病院で朝7時に息を引き取りました。少し前から葬儀社を調べていたので、札幌市内にある葬儀社のA社に電話をかけて、迎えに来てほしいといったところなんと対応できないと言われてしまいました。下調べ不足でした。その葬儀社は札幌市専門で対応している会社であったという事が後になってわかりました。その時私がいたのは札幌市から高速で2時間かかる歌志内市です。

私はあわてて葬儀社を探しました。ですが地域の葬儀社では高い葬儀になってしまうと知っていたので、やはり札幌市の葬儀社を調べ、手当たり次第に電話をかけました。ほとんどの会社が対応できないという中、市民火葬協会さんだけは対応してくれると言ってくれたので依頼をして迎えに来てもらうことになりました。

そして近くの奈井江町内にある、「みなくる」という交流プラザで葬儀会場を手配して下さり、そこに私の父を安置してくれました。そのころには昼の12時を回っていましたが、急な電話にもかかわらず迅速な対応でした。

安置した後の打ち合わせで、宿泊人数や家族葬の細かい内容、流れを打ち合わせしました。火葬場での難しい手続きはスタッフさんが代わりにしてくれるという事でとても助かりました。お寺についても、お坊さんにお経を読んでほしいというのが私と兄の願いでしたので曹洞宗の宗派でお坊さんを手配してくれると言ってくださり本当にありがたかったです。

その夜、私は江別市から病院に来ていたのでとても疲れていたのと、兄は兵庫県の神戸市に住んでいる為到着するのが翌日になるとの事で、その日は仮通夜という事では父と私の妻たちと寝泊まりさせてもらうことになりました。

その翌日、朝からスタッフさんたちが来てくれて通夜に向けて準備を着々進めてくれました。父や私の仕事関係者も続々説き始めていたころ、葬儀の作法や宗派の習わしみたいなものがよく分からなかった私に、スタッフさんがご焼香やお線香のあげ方、遺族代表あいさつのやり方を丁寧に教えてくれました。

前日に発注していたお花も届き、祭壇においてもらったところを見るとそれだけで涙が出そうになりました。私も60代を迎え、孫もいます。社会に出て何十年もたち、まともに父に会ってあげることもできませんでしたが、恩返しをしてあげられている実感が湧いてきたせいか涙が出てしまいました。

親族が揃い、控室で湯灌の儀式が行われました。仏衣を着た父は生まれ変わったようで、輝いて見えました。治療の痕として残った右足のいぼは足袋で優しく包んでくれました。

湯灌の儀が終わると、父は布張りの美しい白い棺の中に納められました。

その夜、お坊さんが来て通夜式を行いました。私たち親族、一般参列者方の順に焼香を回し、全員が終えたことを確認したときに思っていたより将校に時間がかかり、それだけ多くの方に集まって頂き父も喜んでいる事だろうと思いました。司会の進行もスタッフさんが穏やかに進めてくれて、私と兄が願っていた「温かい家族葬」を実感できました。式が終わって改めて振り返り会場を見渡すと、広い会場の壁全面を覆いつくすほどのスタンドの供花でびっしりでした。もう、何といってよいかわからないほど感謝の気持ちでいっぱいでした。

通夜式の後、1時間ほどして私の母が到着しました。実は母は施設に入所している為私たち兄弟は半ばあきらめていました。あんなに仲が良かった父と母でしたから、父の葬儀の時は何とか最後の顔を見せてあげたかったのです。母が式場に着いた時私は飛び込むように母を迎え、車いすを押して父が眠る棺の下に向かいました。母も何とか立ち上がり死に顔を見て、安心したような優しい顔を見せてくれました。

私の母が今回の葬儀の喪主でしたから、母の到着を聞いて、通夜終にもかかわらずみんな親族室からぞろぞろと出てきました笑

そんなこんなで温かい通夜式も終わり、翌日は告別式を行いました。式では親族代表の弔辞で私と兄から参列して下さった方々にご挨拶の場を設けてもらいました。私たち家族は本当に優しい方に囲まれ、この葬儀においても父の最後の瞬間を見届けようとたくさんの方が遠い奈井江まで来てくれたことが嬉しかったです。皆さんにしっかり感謝の気持ちを伝えることができてうれしかったです。

最期はみんなで好きなお花を選んで棺の中一杯に入れてあげました。そしてお坊さんが引導を与えて下さり、最期胡蝶蘭を父の旨の上に一輪乗せて下さいました。最後みんなでする合掌は、感じたことのない安心感と静寂に包まれていました。

出棺が終わり、みんなで砂川市の火葬場の吉野斎苑に向かい火葬炉を前に最後のお焼香。

火葬場の時間もつかの間、あっという間に父の葬儀は終わりを迎え私たち親族だけで再び葬儀会場に集まり最後のご挨拶をさせてもらいました。

葬儀社さんに対しては、本当に感謝しかありません。最後まで私たちが困らないように細かく動いて下さり、今後も私たちが父を供養していけるよう、無料で遺影写真をプレゼントしてくださいました。

これから先、私たち家族の様子を見て父が安心して天国から見てくれるよう手を取り合って生きていきたいと思います。

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